国際バーコードオブライフプロジェクト

International Barcode of Life Project (iBOL)

原理

貿易のグローバル化や気候変動,生物多様性保全の必要性により,迅速な種同定に対するニーズが世界中で高まっています.DNAバーコーディングは,従来の形態学的アプローチを強力に補助する手法です.これによって同定作業を自動化できるだけでなく,生物のあらゆる発育段階と組織断片を解析対象に加えられるようになるのです.

概要

DNAバーコーディングは,短い標準化された遺伝子領域(DNAバーコード)の塩基配列の多様性パターンを調べることで、標本を既知種や新種に結びつけることができる,という簡単な考えに基づいています.また,電子化されたDNAバーコードライブラリによって,大部分の標本の同定は完全に自動化できるでしょう.同定の自動化は,人類が生物多様性を監視し,理解し,管理する能力を大きく高め,科学的,法医学的,疫学的,そして経済的に大きな利益をもたらします.25ヶ国の研究者が,真核生物の包括的なDNAバーコードライブラリの構築を目的とする大規模プロジェクトへの支援を表明しています.この取り組みの第一段階は,資金提供者と研究グループからなるコンソーシアムによって共同運用される5年プロジェクトとして構想されており,50万種500万個体のDNAバーコードが収集される予定です.この参照用バーコード塩基配列ライブラリの構築とは別に,国際バーコードオブライフプロジェクトは,新たな解析技術の開発や既存の生物情報学的基盤(データの操作・解析システム)の拡張を行います.

参加

動物や菌類,植物,原生動物のDNAバーコーディングにおけるカナダの先導者たちは,25ヶ国100人以上の優れた科学者と連携します。この協力関係のもとで,DNAバーコードを地球規模の生物科学的基盤の不可欠な要素として発展させるべく,塩基配列ライブラリ,情報ツール,様々な技術を構築します.私たちは,この取り組みにおける各国の関与は資源の可用性や各地での学問的興味によって異なると予想しています.このような背景から,5年間のプロジェクトにおける資金拠出方針と関連した3つのレベルから成る参加の構造モデルが提唱されました:1)中心ノード(>2500万ドル),2)地域ノード(>500万ドル),3)発展途上ノード(>100万ドル).時間の経過に従い,ある国が別ノードへ移動したり, iBOLに新しい国が参加したりすることでしょう.iBOLは,Consortium for the Barcode of Life (http://www.barcoding.si.edu)と密接に提携することにより, DNAバーコードに関連するコミュニティ全体,そして地球規模の生物多様性科学的基盤との関係を保ち続けます.

参加者の利益

1ヶ国だけで地球規模のバーコード情報ライブラリを作成することは資金・運搬両面で不可能です.したがって,このリソースを集約する国際的な協調関係の利益は明らかです.協働することによって全ての参加国が費用と労力を大幅に抑えつつ,それぞれの研究課題を進展させることができるのです.iBOLは真の協調関係を実現します;全参加国が研究の優先事項を決定し,プロジェクトの進展を監督するのです.また,全ての参加国が,特に中心ノードの国々から,様々な科学分野で直接的支援を受けることでしょう.例えば,カナダは中核となる分析設備や情報学的基盤のほか,以下の面でパートナーを支援する国家的な研究ネットワークを持っています:

  • サンプルのバーコード解析
  • バーコードオブライフ・データシステムへのウェブアクセスとミラーサイトの設置
  • バーコード解析やデータ管理のトレーニング
  • バーコーディングに関連する設備の確立や操作に関する技術支援

ガバナンスモデル

iBOLはゲノム・カナダ(Genome Canada)の国際コンソーシアムイニシアティブ(International Consortium Initiative: ICI)のガイドラインの下で進展しており,適切な管理と会計監査を保証する非営利団体として設立される予定です.研究活動は各参加国の代表を含む科学運営委員会によって監督されます.さらに,資金提供機関や独立専門家の代表を含む理事会がプロジェクトの目標を遵守しているかどうか監視し,良好なガバナンスを確保します.

経費

このプロジェクトは1億5000万カナダドルを要すると見積もられています。その内訳は,標本収集・管理費5000万ドル,塩基配列決定・情報保管費5000万ドル,情報システム支援費2000万ドル,技術開発費2000万ドル,運営・管理・コーディネート費1000万ドルです。

資金提供

このコンソーシアムは,ゲノム・カナダとその国内外のパートナーによって先に作り上げられたいくつかの国際コンソーシアムイニシアティブをモデルにしています。国際コンソーシアムイニシアティブには次の2つの条件があります:1)コンソーシアムはカナダの研究者が先導する国際的取り組みでなければならない;2)資金の75%は他の国内外の資金源から調達しなければならない.ゲノム・カナダやカナダ技術革新基金(Canada Foundation for Innovation),カナダ自然科学工学研究会議(Natural Sciences and Engineering Research Council of Canada),政府省庁,地方政府,各地のゲノムセンターからの参加が見込まれることから,iBOLはカナダ国内で5000万ドルの資金を調達できると考えています.その大部分はカナダで使われますが,塩基配列解析や情報学,技術開発に対する出資を通じて国際プロジェクト全体を支援します。これらの資金はまだ確保はされていませんが,良い見通しがあります.さらに,ゲノム・カナダとオンタリオ州立ゲノミクス研究所(Ontario Genomics Institute)は,イニシアティブの発展段階に対する資金を提供しています。1億ドルの追加資金をカナダ国外から調達しなければなりません。この資金が他の国々におけるiBOL参加者の研究活動を支援するために使われると予期されています。

申請過程

全ての参加国が優先事項の決定や研究活動のコーディネートに関与し,全体的な研究目標と戦略を盛り込んだ基本計画案(charter proposal)を,参加者が速やかにとりまとめます.この計画案では、研究エフォートが区分され,確約したかその見込みのある資金提供者が挙げられ,プロジェクトの中で各参加研究グループの果たす役割が概説されます.また,これは助成金申請の中核要素となり,通常そのバーコード関連研究プログラムの目的を記した補足文書と共に,特定の国や資金提供者に提出されます.

タイムフレーム

現在,iBOLの発展と支援のため,カナダ国内外でいくつもの提携先が求められています.ひとたび提携関係が確立され、iBOL計画案が十分に発達すれば,それは潜在的な資金提供パートナーらに提出され,可能なら合同審査(joint peer review)が行われます。もしこの審査結果が良好であれば、2009年1月までにiBOLプロジェクトが正式に立ち上げられる見込みです。プロジェクト期間中は随時追加提携を歓迎いたします.

さらに詳しい情報はhttp://www.DNABarcoding.orgをご覧ください。

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