第4回国際バーコードオブライフカンファレンスまとめ
11月28日からオーストラリア、アデレードで第4回国際バーコードオブライフカンファレンス (the Fourth International Barcode of Life Conference) が開催されました。第4回となる今回は60ヶ国から450人が参加しました。カンファレンス本体は30日の基調講演及びポスター発表に続き、12月1日から3日午前中までが各分類群・分野ごとの口頭発表、3日午後は再び全体講演が行われました。
カンファレンスでのトピックをいくつか紹介します。
BOLD Systemsの新バージョン公開
DNAバーコードのライブラリ・プロジェクト管理・および同定支援システムを含む情報システムBOLDの新バージョン(バージョン3, http://v3.boldsystems.org/)がベータ公開されました。新バージョンでの注目すべき点はBarcode Index Number (BIN) の公式サポートです。BINは種名とは別にバーコード塩基配列から認識されたクラスターに一意な番号をつけ、暫定的な分類情報として用いる事ができます。
バーコーディングブリッツ
The International Barcode of Life Project (iBOL)とオーストラリアの多様性を明らかにするプロジェクトAtlas of Living Australia (ALA)の協力もと、オーストラリアの研究機関が所蔵する鱗翅目昆虫の網羅的なバーコーディングが行われました。これは、ある場所を網羅的な短期生物調査を表す “bioblitz” になぞらえて”DNA barcode Blitz”よばれ、オーストラリアの蛾と蝶の仲間の既知種の65%にあたる6500種、28000個体の標本をDNA解析用に選びバーコードライブラリを10週間で構築しました。
“DNA barcode Blitz”
アメリカ政府がDNAバーコーディングの利用を開始
以前に紹介した寿司のDNAバーコーディングにも関連しているトピックですが、アメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administration: FDA)は魚の産地偽装を防ぐために国立自然史博物館と協力して、魚のDNAバーコードライブラリーを構築しています。DNAバーコーディングの実用的な例として紹介されました。詳しくはFDAのサイトへ
菌類のDNAバーコーディング
動物ではミトコンドリアのCOI、植物では葉緑体ゲノムのmatKとrbcLが標準領域として策定されていますが、残されていた大きな分類群である菌類でも標準領域の最終候補が発表されました。菌類では、その標準的なDNAバーコード領域として、菌類の種の表徴として広く使用されてきました5.8SリボソームDNAのITS領域が最終的な候補としてアナウンスされました。今後、決定プロセスを経て標準領域として決定されるみとおしです。また菌類バーコーディングホームページがリニューアルされました。
“Fungal Barcoding”
SPIDERの紹介 SPecies IDentity and Evolution in R
DNAバーコーディングに関連した解析を統計解析ソフトウェアRでおこなうためのパッケージです。DNAバーコーディングに関連した様々な解析を一括して行う事を目的としています。関連した論文が準備されており、論文に先立ちソフトウェアが公開されました。
SPecies IDentity and Evolution in R SPIDER
Q-BANK〜植物防疫のための総合的な同定支援システムの構築をめざして〜
Q-BANKは植物防疫のための総合的な同定支援システムを目指す新たなプロジェクトです。バーコード情報だけではなく、植物防疫に関わる検疫有害動植物、侵略的外来種などの生態、分類、生理情報を一元的に取り扱い植物防疫に関する総合的なデータベースを構築しています。バーコードの情報はQBOLから提供されています。オランダ政府を中心にEUのバックアップを受けているQBOLからも支援を受けています。
Q-BANK “http://www.q-bank.eu/”
BOLD Systemsのミラーサイト構築
The International Barcode of Life Project (iBOL)の情報ワーキンググループ主導により、BOLD Systemsのミラーサイトが構築され発表されました。
Global Mirror System of DNA Barcode Data
(GMS-DBD)
カンファレンスの大まかな流れはハッシュタグ#bol4をまとめたTwitterまとめサイトtogetterにまとめられています。
