カテゴリー: 文献
2011年6月発行の日本鱗翅学会 Lepidoptera Science誌, 62(2):75-93 に日本産コハモグリガの仲間の新種記載が掲載されました。DNAバーコーディングをもちいて近縁種間の比較を行っています。
Kobayashi et al. (2011) A new willow leaf blotch miner of the genus Phyllocnistis (Lepidoptera: Gracillariidae: Phyllocnistinae) from Japan, with pupal morphology and genetic comparison of Salicaceae mining species using DNA barcodes. Lepidoptera Science, 62(2):75-93
今月発行のEntomological science (Volume 14, Issue 2)誌に、DNAバーコーディングについてのレビューが掲載されています。
昆虫学でのDNAバーコーディングの利用について、周辺情報も含めてレビューされています。オープンアクセスですので、興味のある方は是非ご覧ください。
Jinbo, U., T. Kato, M. Ito (2011) Current progress in DNA barcoding and future implications for entomology. Entomological Science 14 (2): 107-124.
(pdf)
2010年12月発行のMitochondrial DNA, 21巻 (Number S1)にて、メキシコのDNAバーコーディングプロジェクト、MEXBolの特集が組まれています。
Mitochondrial DNA Volume 21, Number S1 (December 2010)
全ての論文がopen accessなので、興味のある方は是非ご覧ください。
Consortium for the Barcode of Lifeが作成した、DNAバーコーディングについてのパンフレットの日本語版が完成しました。DNAバーコーディングについて詳しく知りたい方はご参照ください。[pdf]
印刷版をご希望の方はinfo [at] jboli.orgまでご連絡下さい。
11月24日付のWeird Visionの記事
「寿司ネタのDNA検査」で多数の不正表示が発覚
でDNAバーコードによるマグロ属(Thunnus)の同定についての論文
J. H. Lowenstein et al. (2009) The Real maccoyii: Identifying Tuna Sushi with DNA Barcodes – Contrasting Characteristic Attributes and Genetic Distances. PLoS ONE 4 (11):e7866.
が紹介されています。記事内容について、若干の補足も含めて解説します。
まず記事の補足です。動物で用いられているDNAバーコードは、一本の染色体全てを読むのではなく、ミトコンドリアの持つDNAの一部について、その配列を読みとって利用する手法です。記事ではミトコンドリアのCOI遺伝子14箇所を選んだと書かれていますが、厳密には読み取ったCOI遺伝子の部分的な配列のうち14箇所、ということになります。
論文では、マンハッタン・デンバー・コロラドの計31の寿司店でマグロを注文し(価格は$2.25~$15)、店員から種名を確認した上で、寿司ネタ(可能であれば刺身)からDNAを抽出、バーコードを特定しました。
COIバーコードを構成する655塩基のうち、マグロ属の識別に有効であると考えられた14塩基をデータベース内にある配列と比較した結果、マグロ属では99%以上の確率で種名が特定されました。また、White tuna(ビンナガ)とされていながら、いずれのマグロにも該当しなかった5サンプルについては、配列全体を用いてデータベースで検索を行ったところ、データベース内の魚類では、ワックス毒魚とされるアブラソコムツ(Lepidocybium flavobrunneum)に最も近い配列である、という結果が得られました。
現在のところ、DNAバーコードを迅速に決定することは技術的に困難であり、種名を特定するには、一日程度かかりますが、本研究は、DNAバーコードによってより迅速な種同定が可能になったとき、それがどのような利用法を持つかを示す一つのモデルケースです。