DNAバーコードを用いた寿司の同定
11月24日付のWeird Visionの記事
でDNAバーコードによるマグロ属(Thunnus)の同定についての論文
が紹介されています。記事内容について、若干の補足も含めて解説します。
まず記事の補足です。動物で用いられているDNAバーコードは、一本の染色体全てを読むのではなく、ミトコンドリアの持つDNAの一部について、その配列を読みとって利用する手法です。記事ではミトコンドリアのCOI遺伝子14箇所を選んだと書かれていますが、厳密には読み取ったCOI遺伝子の部分的な配列のうち14箇所、ということになります。
論文では、マンハッタン・デンバー・コロラドの計31の寿司店でマグロを注文し(価格は$2.25~$15)、店員から種名を確認した上で、寿司ネタ(可能であれば刺身)からDNAを抽出、バーコードを特定しました。
COIバーコードを構成する655塩基のうち、マグロ属の識別に有効であると考えられた14塩基をデータベース内にある配列と比較した結果、マグロ属では99%以上の確率で種名が特定されました。また、White tuna(ビンナガ)とされていながら、いずれのマグロにも該当しなかった5サンプルについては、配列全体を用いてデータベースで検索を行ったところ、データベース内の魚類では、ワックス毒魚とされるアブラソコムツ(Lepidocybium flavobrunneum)に最も近い配列である、という結果が得られました。
現在のところ、DNAバーコードを迅速に決定することは技術的に困難であり、種名を特定するには、一日程度かかりますが、本研究は、DNAバーコードによってより迅速な種同定が可能になったとき、それがどのような利用法を持つかを示す一つのモデルケースです。
2009 年 11 月 25 日 8:20 PM